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映画は総合芸術だ!2D、3D総力戦で作り上げた渾身の一撃「映画プリキュアドリームスターズ!」

2017年03月12日 20:28

映画プリキュアドリームスターズ!いよいよ公開が来週に迫りました。

私にとって初の長編映画監督作品となった本作。
「全員集合」から「直近三世代」へとリニューアルし、プリキュア映画史上最も3DCGを多く使った映画となりました。
私個人としては、大塚監督から受け継がれてきた全員集合映画を心からリスペクトしています。それだけに、私のような新人監督がここまで色々なものを変えてしまっていいのだろうかと葛藤がありました。

本当に最近まで作業をしていたためまだ自分の中で気持ちが整理できていませんが、せっかくなのでこの場で映画に対する気持ちを語らせてもらいたいと思います。
daihon.jpg



■「人数を減らす」という選択について
これはいくつかのインタビューで鷲尾プロデューサがおっしゃっているように
「子供のために」
という理由がほぼ全てです。
私自身昔のプリキュアにもとても愛着があり、出したいキャラクタがたくさんいました。(というか出す気満々でいました)
しかし、子供が映画館で知らないプリキュアが出てきて「あの人だあれ?」となってしまう状況が想定されながら「俺が出したいから50人出すんだ」と我を通すというのはいくらなんでも横暴だろうと思いました。

昔のプリキュアも出したいのは監督の私も気持ちは同じ。
だからこそ、そんな気持ちを持っている人たちが見ても絶対に面白いと思ってくれるものを12人で作ろう。と奮い立ちました。
プリキュアたちやサクラの濃密なドラマ。12人くらいが一番生えるレイアウトやアクションなど、とにかく知恵をしぼってみんなで考えました。

他にも、初代オマージュのアクションやちょっとしたポーズなど、昔のファンが気づいたらニヤっとできるような仕込みを色々と用意していますので(分かりやすいのから分かりにくいのまで)、よければ探してみてください。

■作品に向かう気持ちについて
少し個人的な話になってしまいますが、この作品を作り始めたとき、不安で押しつぶされそうになりました。
まず、全国200館超えの大規模上映がされる作品を背負わなければいけないという重圧。そして、圧倒的な人手不足が想定されたこと。
この映画を作っている最中、私が所属している部では大きなテレビシリーズ作品を抱えており、私が育てたスタッフの多くもそちらに参加している状態でした。その作品は私にとっても大切な作品であり、強引に人手を引きずり戻す事は到底できない状況。
あ、これ詰んだな・・・と思いました。

そんなとき、ふと友達の勧めで見た「オデッセイ」のブルーレイ。
主人公のマットデイモンが火星基地に置き去りにされ、食料も資材も足りない絶望の中あらゆる工夫と強靭な意志の強さで生き残るというお話です。
お話とは分かっていても、マットデイモンの異常なほどに前向きな姿勢に心奪われ、一人号泣してしまったのを覚えています。

とにかく私もできることは全てもがいてみよう
そう思い、過去一緒に仕事をしてきた社外の友達や先輩・一緒にやりたいと前から思っていた同業者等、監督である私自らがむしゃらに連絡を取り、力を貸してほしいと打診しまくりました。
タイミング的に色々仕事が埋まっている中、「宮本君のデビュー作なら必ず時間を作るよ!」とたくさんの仲間たちが言ってくれました。
本当に本当に本当にうれしくて、ここでもまた号泣してしまった情緒不安定な三十路監督でした。

しかもその後社内でも私の作品に参加したいと言ってくれるスタッフが出てきたり、結果的には相当いいメンバーで作品に取り組むことができる状態にまでなりました

この時の経験が、実は映画全体を通したサクラの心情に結構な影響を与えているなと完成した映画を見て改めて思いました。

■憧れや夢
今回の映画、大きなトピックスの一つが「3DCGの世界と2D作画の世界を行き来する」というもの。
そう、半分強は作画のアニメなのです。

過去に少しだけ原画の仕事をかじったことがあるとはいえ、基本的には3DCGの業界で生きてきた私。
完全にアウェイな状況でしたが、こちらも素晴らしいスタッフが集結してくれとてもいい流れになっていきました。

絵コンテは作画パートも含め私が切らせてもらったのですが、2D作画パーとには専属の演出さんが2人も立ってもらい、コンテより後の映像制作全般でとても尽力してくれました。
作画監督についても、どうしても一緒に仕事をしたかった「プリンセスプリキュア」キャラデザの中谷さん。そしてハピネスチャージ映画でキャラデをされていた大田さんなど、言うだけならタダだと思い夢見がちな希望を出してみました。
結果なんと、そのお二人がツーマンセルで両方入ってくれるというミラクルが実現
他にも毎度プリキュア映画でお馴染みのスーパー原画マンなど、かなり贅沢な環境で作品に取り組むことができました。

今まで夢見てきた2Dに対する憧れを、この作品で一気に回収できたな・・・とまで思い、感動で身震いしています。

■2Dと3Dの関係
実は、3DCGと2D作画パートは完全に切り分けているわけではなく、お互いに色々と影響を与え合っています。
普段からデジタルツールを使い倒している我々からできる提案は少なからずあるはずだ!と、撮影ソフトの最新プラグインなどを調査し、2D作画パートの撮影さんと協力。
今までのプリキュア映画ではあまりやってこなかったような撮影処理をふんだんに盛り込みました。
結果、作画パートを見て「これCG?」というコメントまで見るようになりました。
変化に気づいてもらえているという手ごたえを感じ、思わずガッツポーズをキメた私でした。

逆に、2Dで上がってきている素晴らししレイアウトや原画もCGアニメータに多大な影響を与えています
3DCGでは表情のアニメーションを作る際に「モーフターゲット」といわれる形状ライブラリを作るのですが、後から中谷さんや大田さんの原画を参考にこっそり3Dのターゲットを作り足したりと、制作中盤からもクオリティアップのためにできることは全てやりました。

■10年の集大成として
ここまで色々語ってきたように、映画が進むにつれてどんどん強力な味方が増えていきました
3Dスタッフも2Dスタッフも、私にとっては映画の中のプリキュアなのです

私は業界入りしてまる10年が経ちました。
とにかくたくさんの人と仕事をし、積み上げてきた仲間・技術・経験。
それらを余すことなく一本の映画に全て注ぎ込むことができたと実感しています。


ただ、監督として、演出家として私はまだまだ駆け出しです。
でもだからこそ、元気いっぱいで地に足ついていないヒャッハーなところ(?)がこの映画の魅力だと勝手に総括してみます。

映画プリキュアドリームスターズ!3/18日いよいよ公開です!
http://www.precure-dreamstars.com/

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プリキュアに叶えてもらった夢

2015年10月25日 21:55

(※「ながいよ!」という方は、スクロールして「子供たちの笑顔が~」から下だけでも読んでいただければと)


ついに10月31日公開になります
「映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!」
あちこちでセミナーや取材・告知をさせていただき、感謝しております。

イラスト描いてみまいた(クリックで拡大)
preMovKinen_201510252308545cc.jpg



この中で、フル3DCGによる中編映画
「プリキュアとレフィのワンダーナイト!」
で、映画としては初の監督をやらせていただきました。
半年という短いプロダクション期間でフルCG映画を作るという無謀な挑戦でしたが、なんとか先日ダビング、オンラインを経て納品となりました。

今までもたくさんのプリキュア作品に関わらせていただいてきましたが、今回は初監督ということもあり自分にとって並々ならない気合と執念で作品制作に望みました。
なんだか自伝のようになってしまいちょっと長いですが、自分がプリキュアというタイトルに込める思いを書いていければと思います。


■「監督になりたい!」と決意した「ホッタラケの島」
私のキャリアスタートはゲーム会社で、当時「一流のモデラーになる」事が唯一の目標であり、夢でした。
しかし、最初の転職先であるプロダクションIGで関わった映画「ホッタラケの島」で、当時絵コンテ演出をされていた塩谷直義さんの仕事をみて「キャラクタを魅力的に見せるのはモデリングだけじゃない」という当たり前の事に気付きました。
キャラクタのしぐさやセリフ、場面の流れなどあらゆる要素が総合的に絡み合い、キャラクタは魅力的に見えるのだと。
それ以来私は6年間「監督になりたい!」と言い続けるようになりました。


■東映に来るきっかけとなった「プリキュアオールスターズDX2」
そもそも私は東映アニメーションに所属前、別の仕事をしながら在宅で東映の仕事を手伝っていました。
その時手伝っていたのが大塚隆史さん監督の「映画 プリキュアオールスターズDX2」で、宮原直樹さんがディレクターをされていたフル3DCGエンディングのキャラモデリングを手伝わせてもらっていました。
私の担当はプリキュア5GOGOの「キュアレモネード」だったのですが、リアル系のCGしか経験のない私はOKすらとることができず引き上げられてしまう始末。迷惑だけかけて全く戦力にならないというありさまでした。
ただ、引き上げられたにも関わらず試写会で見たキャラクタたちの映像をみて「もう一度この仕事をしたい」と思えるくらいインパクトのあるエンディングに仕上がっていました。

ちょうどその頃別の仕事が止まる事が決まり、現在は東映デジタル部の部長になっている氷見さんに声をかけてもらいました。
私としては結果を出せなかった後ろめたさがあったのですが、それでも「才能を感じるから」と声をかけてくれた事に感激し、デジタル部に直接所属する事を決めました。


■リベンジで挑んだ「スイートプリキュア」
それから5年半、色々な作品に関わってきたのですが、転機となったのは2011年「スイートプリキュア」の後期エンディング。4人目の新キャラクタ「ミューズ」のモデリング担当が空いているが、やってみるかと提案をもらいました。
DX2での挫折がくやしくて、いわゆる「セルルック」のキャラクタ表現に対して徹底的に自主勉をしていた私は「やらせてください!」と即答。今回は引き上げられず最後までOKを取る事ができました。


■人生初の成功体験「スマイルプリキュア」
スイートで一応はトゥーン系案件でも使えると評価してもらい、次のスマイルプリキュアではリードモデラーをやってみろというお話をいただくことに。
話を聞くと、スマイルの監督は私が東映に来るきっかけを作ってくれたDX2の大塚さん。上がってきたキャラクタデザインはとても好みで、
とにかく「この作品に運命を感じる」と思いました。
それもあり猛烈な熱意で直談判をし、リードモデラーではなくエンディングのディレクターとしてやらせてもらえることになりました。
そうと決まればがんばりましたよ、そりゃもうがむしゃらに。
結果的にスマイルプリキュアのEDはとても好評をいただき、プリキュア初のCGWORLD表紙をやらせてもらうなど大成功を収めることができました。
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■逃げては通れぬ戦い「聖闘士星矢 Legend of Sanctuary 」
スイートやスマイルをやりながらもずっと取り組み続けていたビックプロジェクト星矢がついに始動し、しばらくはこれにかかりきりになっていました。
この案件ではキャラクタデザインという肩書きを頂くことができました。
正直、長い案件だっただけに辛い思い出がそれなりにあります。
とにかく、苦しかった。(忙しかったとは別)


■リハビリだと思ったら超絶大変だった「ハピネスチャージプリキュア!」
星矢のデザイン、モデリングが終ったタイミングでしばらくゆっくりしたいなあ・・・と思っていたら、上司から呼び出されました
「3つの中から好きな案件選んでいいからディレクターして」
というお話。
今思えばこれ以外選ばないだろと思うラインナップだった気がしないでもないですが、とにかく私が選んだのは「ハピネスチャージプリキュア!」でした。エンディングは一回やっているし、まあ肩の力を抜いて息抜きがてら楽しもうくらいに思って引き受けました。
世の中そんなに甘くない!
ハピネスチャージの前期をやっている時期は、星矢のショット制作まっさかりの時期。
コンポジターもエフェクターも協力を得られず、あらゆる作業をセルフサービスでこなす超絶過酷な案件に。
でも、不思議と苦しくは無かった。むしろむちゃくちゃ楽しかったのを覚えています。
その後フォームチェンジバンクを数本作りながらクオリティの土台を固めて、グランドラインへ旅立つことに。


■東映を辞めようか本気で悩んでいた時期
実はワンピースが本格始動する前、東映を退社しようか本気で悩んでいました。
正直ここまでの数年間で精神的に疲弊することがあまりにも多く、ハピネスが楽しかったので少し持ち直したものの気持ちの落ち込みは治っていませんでした。
この時期、自分は監督になれてもショートムービー止まり。テレビや映画で監督なんてどうせなれないだろうと思ってしまっていました。
そんな時、スイートプリキュアの境監督と星矢の上村助監督が飲みに誘ってくださいました。
お二人は監督を目指す私からすると憧れの中の憧れ。
そこでお二人がが出会ってきたレジェンドな方々の話や、やりがいのあった仕事の話。
たくさんの話を聞かせてもらいました。
そこで何より嬉しかったのは「宮本君の監督した作品を見てみたい」と二人に言ってもらえたこと。
とにかく、体がぞわっとするくらいうれしかったのを覚えています。


■初監督「東京ワンピースタワー」
実は今の映画を監督する前に、一本だけショートムービーの監督をやらせてもらいました。
現在東京タワーの下でやっているワンピース専属のテーマパーク「東京ワンピースタワー」の映像です。
「ルフィのエンドレスアドベンチャー」というアトラクションの最後にあるシアターに流れている映像が私の初監督作品です。
ここでも、キックオフ時にある憧れの方からうれしい言葉をいただき、一気に気持ちがトップギアに入りました。
前からワンピースはやってみたかったこともあり、その当時できることは全てやりつくし今でもクオリティには自信を持ってオススメできると自負しています。
ご興味の有る方は是非東京タワーへ。


■ついに映画監督「プリキュアとレフィのワンダーナイト!」
ここ数年間の人生で最も気持ちの落ち込む時期を乗り越え、ようやく手にしたチャンスが今回の映画。
私を東映に呼んでくれた氷見さんから「ハロウィンモノやりたいって言ってたよね、今年はハロウィンがテーマだから企画出してみる?」と進められました。
「ここを逃したら次のチャンスは無い!」と思い、必死に食らいついて企画を前に進められるよう頑張りました。

中編とはいえ半年でフルCG映画を作るというクレイジーなスケジュール。
正直最後の最後まで本当に終るのかと不安でした。

今回は監督のほかに、キャラクタデザイン、絵コンテ、リードモデラー、フェイシャルリギング、アニメーションなどを兼任しました。
自分に出来る事はなんでもやるぜ!というスタンス。
メインスタッフには今までずっと一緒に組んできた信頼できる布陣で固めてもらい、彼らと一枚岩になり結束できなければこの期間で完成はありえなかったと思います。
とにかく必死に力を尽くしてくれたスタッフたちにはもう足を向けて寝れません。

実は制作中盤、同時作業していたテレビの後期EDの佳境時期くらいからずっと頭痛が治まりませんでした。
症状を調べてみたら「緊張性頭痛」というものらしく、緊張やストレス、肩こりから来るものだとか。
結局映画が終るまで強弱はともかく、ずっとついてまわっていました。
ただ、オンラインで全素材を納品した日の夜信じられないくらいぐっすり眠れて、次の日起きたら完全に頭痛が治っていました。
私は昔から緊張はしないタチだと思っていたのですが、今回ばかりは不安でどうしようもなくなっていたのかもしれません。


■子供たちの笑顔が、一番のご褒美
そして昨日10月24日、私にとって晴れ舞台となる東京国際映画祭のレッドカーペットイベント・新宿バルト9の舞台挨拶をしてきました。
これらは自分にとっては身に余るもので、完全に身の丈にあっていないレベルのイベント。
プリキュアというビックタイトルにぶら下がり「連れて来てもらった」イベントです。
いつか自分の実力が、この舞台に相応しいレベルに到達できる日が来るんだろうか・・・
そんな事を思いながらフローラさんときゃっきゃしてきました。
CSD1gdhVAAMk637.jpg

そして今日10月25日。ついに子供たちの反応を見る日がやってきました。
試写会で後ろの方に座り、隣に座った長編の座古監督と二人で子供たちの反応を見ることに。
もうね、本当に一生懸命、プリキュアたちを応援してくれるんです。
一生懸命ライトを振って「プリキュア、頑張れ!プリキュア、頑張れ!」って。

本編もさることながらその姿を見て感動し、気が付いたら涙を流していました。
4年前始めて子供たちの反応を見たときから確信していたこの思い。
「子供たちにとって、プリキュアは架空の存在じゃない」
実在のヒーローだからこそ、そこに適当な事はできない。
改めて、自分の仕事の大切さを実感しました。
そして、うれしかった。
心の底からうれしかった。
子供たちのために映画を作ってきたはずなのに、何で俺が一番うれしさをもらってるんだって、もう胸がいっぱいになりました。


■「レフィ」というキャラクタについて
最後に、映画について触れようと思います。
ネタバレにならない程度に、映画オリジナルキャラクタ「レフィ」についてお話します。
ここまで、私が映画監督になるまでのお話をしてきました。その中で

・監督になりたいが、そう簡単ではなかったこと
・何度も挫折し、心が折れ、諦めてしまったこと
・それでも他人の言葉や熱意に心を打たれ、もう一度頑張ろうと思えたこと


プロットを書いている時は全く意識していませんでしたが、レフィというキャラクタは私が「監督」になるまでに経験してきたこと、出会ってきた人たちの生き写しだなという事に気付きました。
劇中でレフィが言うセリフ、プリキュア達に言ってもらったセリフ。
それら全てに、自分がもう一度頑張ろうと思えた大切な人たちとの関わりが散りばめられています。


人間、一度あきらめた事を何かのきっかけでもう一度挑戦し、達成したとき本当に心に勇気が湧くんです。
私は私が出会ってきたたくさんの人たちのおかげで、もう一度頑張ろうと思えました。
この映画を見た子供たちが、本当に小さなことでもいいんです。
「レフィみたいにもう一度頑張ろう」
そう思ってくれたら、これから先生きていく人生の中で、それが勇気になり柱となると思うからです。

カナタ王子の言葉で夢を捨てずにいられた、プリンセスはるかのように。

「シドニアの騎士」モデル販売のデータを見てみました

2014年11月10日 01:13

3DCGアニメシリーズ「シドニアの騎士」に使われたモデルが、有料、無料でダウンロードが可能と話題に。
シドニア堂

遅ればせながら、自分もダウンロードしてみました。

■はじめに
このモデルデータについて、SNS界隈で色々な意見が飛び交っているのを見ました。
このモデルを見ることで、学生さんやこれからトゥーン系アニメCGをやろうと思っている人がどのような視点で受け取ればいいのか。
一応、実写からトゥーンまで色々な仕事をしてきた自分としての意見も述べておこうかなと思いこの記事を投稿しました。
(※あくまでアニメ会社勤務サラリーマンの個人的感想です)

■会社によって、千差万別なモデリングの考え方
01_201411092351358ac.jpg
まず、フリーで落とせた3体を読み込んでみました。
造形等については、キャラクタデザイナーの意図、視聴者の好みがありますので私見は述べない事とします。

自分はゲーム会社やアニメ会社、フリーランスとして受注していた時期など色々な仕事を経験してきましたが、モデリングに関する考え方は驚くほど多様化していると感じています。
例えばハードエッジの是非。ポリゴン数の上限。シワの作り方。どれ以上のディティールからマップに頼るかなど、ひとつの会社で通用した技術が他の会社では全否定されるなんてことはよくあります。
そういった経験の中で、シドニアを制作されているPPIさんのモデルは「バランス派」だと感じています。

たとえば、細かい手のシワや血管の浮き出具合まで全てポリゴンで割る会社もあります。
逆に、AEで平面を貼り付けたりレタッチすることが前提で、とにかくディティールを作らない会社もあります。
よく「セルルックのモデルはシェーディングで見ると奇形に見える」という話を聞きますが、それは線を出す、フォルムを取るのに必要な情報以外なるべく省いているからです。

そういう視点で見てみると、上記画像はシェーディングで見てもおかしくは見えませんし、かといって細かいディティール全てがモデリングされているわけでもありません。
そういう意味で、トゥーンレンダリングの要素を入れながらもセルアニメのトレースではなく、CGプロダクションとしての経験を投入しようと、リアル系CG作品の考え方もブレンドしながら探っていったものと思われます。

■構造面
例として、口のメッシュをソフト選択で上げてみました。
02_20141110000714c3f.jpg
筋肉の流れに沿ったメッシュによって、綺麗に変形しています。
間逆の例ですが、最近話題になっている「ギルティギア」のメイキング記事が以下にあります。
GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」で実現された「アニメにしか見えないリアルタイム3Dグラフィックス」の秘密
こちらで公開されているキャラクタのワイヤーフレームを見ると、口周りが大きく省略されているのが分かると思います。
セルルックではやわらかく変形したジオメトリの陰影を綺麗に維持する必要がなく、しかもギルティのように別ジオメトリーの法泉を転送したりというテクニックを使う場合もありますので、変形時の陰影よりもフォルムを優先してこのようなメッシュになっていると思われます
だからといってギルティの出来はよくないのか?と言われると、自分がプリレンダーで逆立ちしても出せないようなクオリティをリアルタイムでたたき出しています。感服です。

ちなみにCGWORLDさんで何度も特集していただいて画像が出ているのでいいますが、プリキュアの口元のメッシュ構造はシドニア寄りです。

他に、頬の流れについても触れてみます。
ピンク色の線で示したのは、キャラクタを正面から見た時に頬の輪郭となるラインです。
03_20141110002250068.jpg
ここはセルとリアルで結構違うところの一つで、セルでは頬の輪郭の印象を角度に依存せずある程度一定に保つ必要があります。
そのため、ピンク色で示したように、あごから頬にかけてのメッシュの流れがそのまま上に流れるようなトポロジーを組む時が有ります。
しかし、筋肉の流れからするとシドニアの方が正しく、シェーディングを考えると実はシドニアの例が理想のひとつだったりします。
このあたりの考え方は造形にも影響していまして、正面から見て耳が髪の毛で隠れていないキャラクタを作る場合、頬のラインよりも耳の付け根が内側にないと正面から見た頬の線が綺麗に出ません。
(耳を別モデルにするなどして対応もできますが)
そのため、どうしても2Dで作画設定があるキャラクタを3Dに起す場合、「箱系」と言われる、面を張り合わせたような四角い頭のモデルになることが多いです。
シドニアの場合、3Dシリーズに向けて新規に設定を起しているはずですので、そのあたりも考慮してキャラクタデザインが組まれていると考えられます。
実際、頬ラインの造形の考え方はセミリアルなキャラクタの考え方に近く、頬から耳にかけての陰影もなめらかにつながっています。
上手いなと思ったのは、そのような造形・メッシュ構造であるにも関わらず、正面から見た時に耳に向けての造形がトゥーンと相性の良い感じにまとまっているところです。

■プロダクションにおける「良いデータ」とは?
ここまでの記事で、簡単にですがセルとリアルで色々な考え方が違ってくるというお話をしてきました。
そのため、会社の文化によって否定的な意見が出るのはトゥーンである以上仕方が無いのかなと思います。

では、このデータから何を学べばいいのか。このデータがプロダクションとしてどのように優れいているのか。
このあたりを自分の意見で話していこうと思います。

・メッシュラインの統一化
ヒロイン二人のメッシュを並べてみました。
04_20141110003608cb2.jpg
この二人が顔の造形が近いというのもありますが、メッシュの構造が完全に一致しています。
データを見た方は分かると思いますが、UVも完全に同じものになっています。

・類似データの共通化
05.jpg
ブーツが分かりやすい例ですが、ヒロイン二人だけでなく、足先部分やソールの構造が近いものは、やはり近い構造で作られています。
これは、テレビシリーズという厳しいスケジュールの中で上手くデータを使いまわすというだけでなく、リグやアニメーション等下流の工程でも有用なポイントです。
手なども同じような構造が使いまわされています。
06_20141110004218376.jpg
例えばめんどうな指のジョイント配置。他に、手の形状が一致しているキャラクタ同士で、手のポーズの共有など後々効いてくる利益がたくさんあります。

フォトリアルなクリーチャー等では、むしろこのあたりを微妙にバラケさせることでリアリティを出してくなどの考え方もありますが、セルルック。しかもテレビシリーズという事を考えると、非常に優れたアセットマネージメントがされていると見受けられます。

「手のモデルを使いまわすなんて当然じゃないの?」と思うかもしれません。
しかし、キャラモデラーというのは自由な人間が多いので、きちんと仕様化しておかないと似たようなデータでもどんどん仕様がバラケて増えて行ったりするのです・・・

・UVについて
UVについても、基本的にほとんどのパーツが開かれており、1-1エリアに格納されています。
(一部例外もあるようですが)
09.jpg
これもとても大事なポイントです。
mayaはメッシュの表面情報を取得する際、UV座標をベースにすることがしばしばあります。
例えば、hairに使われているfollicleも、outMeshの情報とUVの座標を元にメッシュ表面のワールド座標を割り出しています。(うろおぼえですが)
他に、ペイントエフェクトでのブラシペイントなども、基本的には1-1エリアを出た時点で無効化されてしまいます。
(今のバージョンでは直ってるのかな?)
xGenなど最新の技術ではアトリビュートマップがptexベースになったりしてこのあたりの制限は大分少なくなっていますが、色々な面から考えて1-1エリアに納められるものはなるべく収めたほうが良いというのが経験上言えることです。


■(オマケ)mayaのpfxToonの問題点
3dsMaxを使われている会社などは、デファクトスタンダードになりつつある「ペンシル」を使っている会社が多いと思われ、mayaのToonはダメだと噂は聞いていても「何がダメなの?」と分かり辛い部分もあるかと。
せっかくなので、こちらのモデルを題材にmayaToonの悩みについて少し触れておこうと思います。
おそらくPPIさんはmayaを使いつつもmayaのpfxToonなど使っていないと思われ、上手く解決していることでしょう・・・汗

まず、ヒロインのモデルにpfxToonをアサインしてみました。
このくらいの太さなら、まだ見れます。
07_20141110005246903.jpg

線を少し太くしてみます。
08.jpg
ここまで太くするかは置いておいて、まず緑色の囲いを見てみてください。
mayaのToonはメッシュです。そのため、太くすると服の下にあるジオメトリーの線が上に突き出してきます!!
他に、青で囲ったところのようにディティールのあるエリアはダマになりまくってぐっちゃぐちゃになります。

こうなった場合どうするかというと、自分の場合はAEで手マスクを切って1フレームごとに消してきます。
ええ、もう気が狂いそうですよ。

他にも色々とmayaToonの問題点は存在していて、正直自分は、インハウスでラインの開発をするか、ラインだけでもキャッシュで持っていってmaxでレンダリングしたいと思っています。

映像を見ている限りシドニアではそのようなガバガバなエラーは見受けられず、上手く処理しているものと思われます。


■さいごに
トゥーンとリアルは文化が違います。
会社によっても文化が違います。
もうこれは一種の宗教のようなものです。

繰り返しになりますが、特定の会社で通用した技術が転職した瞬間全否定されることはよくあります。
なので、シドニアのモデルを見て「これが正解」「これがダメ」と決め付けるのではなく、「こういうやりかたをしている会社の1例がタダで見れた」と、ありがたく享受しておけばいいのでは。と思います。

このモデルを見た学生さんは、造形やメッシュの出来不出来よりも、優れたアセットマネージメントによる「仕様がちゃんとしてるプロのデータ」を作る必要性を感じていただければと思います。

Zbrushでごりごりしただけのデータで就職しても、ここでつまずいて「使えない新人」になる例は最近多いようです。

アーノルドレンダー

2013年09月26日 10:50

久々の更新です。
最近巷で噂の「アーノルドレンダー」について、いくつかの条件つきで画像の公開許可を頂きましたのでブログで紹介させてもらいたいと思います。

機密保持契約の関係で詳しい情報は記載できませんが、この記事でアーノルドというソフトウェアの潜在能力を感じて頂ければ幸いです。
なお、販売価格や入手ルート。具体的なmayaのチュートリアル等は前述した通りNDAの関係でお話できませんので、あらかじめご理解ください。
thorKeyVisualA_2013091223054044b.jpg


■アーノルドとは?
アーノルドレンダーは「solidAngle」社が開発・販売しているフォトリアリスティック向けのGIレンダラーです。
ハリウッドのハイエンドVFXでの普及に加え、最近では映画「キャプテンハーロック」でマーザ・アニメーションプラネットさんが使用された事でも有名です。

■メイキング
今回、4年ぶり?5年ぶり?くらいにフォトリアル系の人間を作ってみました。
仕事以外で作品を作るという事自体若い頃しか(精神的に)できなかった私ですが、アーノルドというレンダラーがあまりにも素晴らしく、自分からリアルな人間を作りたい!と思うに至りました。
今回テーマにしたのは、某アスガルドの雷男です。


●Modeling
デザインはよく分からない所が多かったので、アベンジャーズのアート本を買ったり色々と資料をかき集め、一応全身作成しています。
(↓クリックで拡大↓)
wier2.jpg


顔は左右非対称で作成していますが、フェイシャル扱いでアシンメトリーターゲットを作成しているので、とりあえずデフォルトモデルはシンメトリーで作っています。
(↓クリックで拡大↓)
wier.jpg


●Rendering
ベーシックなスタジオライティングでのレンダリング。
(↓クリックで拡大↓)
studio.jpg

ターンテーブル

thorTT from hiroshi miyamoto on Vimeo.



IBLで色々出してみましたテスト
(↓クリックで拡大↓)
IBLtest.jpg


余談ですが、野外っぽい絵のテスト、ルックデヴのベースに使ったライトの一つなのですが、実際に私がロケーションで写真を撮影してもらい、肌の輝度をある程度数値レベルで合わせるというテストをしています。
現場でHDRを取るような事まではできていませんが、やらないよりはマシだと思い、撮影してきました。
なお、ロケーションは武蔵国分寺公園。撮影時間は午後1時頃です。
(真夏なので暑かった・・・)
photo.jpg


全身2種。
今回は、この「武蔵国分寺公園」「スタジオライティング」に加え、IBL無しのライトオンリーを足した3種類のロケーションでルックデヴを行いました。
まったく同じシェーダーで、ライトを変えただけでロケーション変更を行えるよう高い汎用性を目指しています。
(↓クリックで拡大↓)
thorAll.jpg


●Rigging
体と顔のリグテストムービー
(↓クリックで拡大↓)
facial.jpg

facialRigTest pb sd from hiroshi miyamoto on Vimeo.



thorFacial from hiroshi miyamoto on Vimeo.



bodyRigTest pb sd 2 from hiroshi miyamoto on Vimeo.



thorBody2 from hiroshi miyamoto on Vimeo.



●Final
最後に、頭に貼り付けていたキーショットの大きい画像をペタリ。
実はアニメーションをつけていてその1コマなのですが、途中で挫折したのでとりあえず静止画を。
またいつか元気が戻ったら続きをつけるかもしれません。
(↓クリックで拡大↓)
thorKeyVisualA_20130912233759ad1.jpg
適当なHDRの素材集でレンダリングしたので、背景はとりあえずそれを切り抜いて貼り付けています。汗


カラコレ前のビューティーパスはこちら。1パスレンダーです
(↓クリックで拡大↓)
thorKeyVisualB.jpg


■あとがき
自分はアニメ会社勤務で、本業はトゥーンルック。Zbrushすら使えません。
そんな自分でも、触って数日で使えてしまう。
ルックデヴにかかった日数も、以下のとおりすごく短時間ですみました。
-----
モデリング : 3日
ルックデヴ : 4日
ボディリギング : 2日
フェイシャルリギング : 11日
-----
私は仕事でmentalRayもvrayも一通り触ったことがありますが、目標の絵に対してここまで迷ず到達できるレンダラーは初めてだというのが感想です。

Vrayも3.0でブルートフォースやヘアーの強化がされるという情報がありますし、レンダーマンもフィジカルベースでレイトレーサーになってきていると発表されています。
これから世界的なレイトレーサーへの移行が行われていくと思いますが、その中で抜きん出るために「ユーザーライク」というのは大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。

CG版権絵

2012年05月13日 20:53

CGWORLDの表紙と、スマイルプリキュアダンスえほんの表紙をフルCGキャラクタで作らせてもらいました。
スチルに耐えられるレベルのCGを作り、商品パッケージなどに展開するのは私の悲願でした。
今後もこういうものが増えていくといいですね。
CG WORLD (シージー ワールド) 2012年 06月号 [雑誌]CG WORLD (シージー ワールド) 2012年 06月号 [雑誌]
(2012/05/10)
不明

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