[miRA]フェイシャルリグテスト

2017年05月18日 04:27

デモリールを最新判として更新し、最初にいくつか表情テストを入れ込みました。

レタッチ無し、撮影処理無し。

なお、後半に作業動画を入れ込みましたので、以前に公開した個別の動画は近日削除予定です。

それから、れいなさんは撮影無しの一発レンダー画像ばかり公開していたいので、一枚撮影してみました。
(クリックで拡大↓)
reinaStl.jpg

一旦デモリールも充実し、こちらでひと段落となりそうです。
後日アニメーション等をつけることがあればデモリールには加えず個別でアップしていきますので、上記パスの動画はこちらで最終版とさせてください。
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[miRA]bipedBuilderについて

2017年05月15日 03:35

(クリックで拡大↓)
keyVisualA07.jpg

先日ポストしたmiRAについて、個別の機能をご紹介していきます。
今回は「bipedBuilder」というツールの紹介です。

miRAは独自の「miRAコマンド」というパイソンモジュールを多数備え、その組み合わせでモジュラーリギングを行います。
基本的にGUI上からのビルドが可能ですが、よく使うものについはテンプレート化を行っているというお話も以前紹介しました。
その中でもbiped(二足歩行)やfacial(表情)のコントローは本当によく使うため、短時間でセットアップが行えるよう関節位置やスキンウエイトも含め短時間でセットアップが可能なデータを用意しています。
そもそもmiRAはキャラクタ専用のリグではなく、プロップやヴィークル、背景などあらゆる要素をセットアップできるように想定してあるトータルリグシステムですが、それを使った上で特化したツールも開発可能・・・という例として見てもらえればと思います。


■デモリール
今回はタイムラプスの動画を作成しましたので、まずはこちらをご覧ください。
(※今回はあくまでプライマリリグに特化した内容です。一番時間のかかるセカンダリーは割愛していますので、ご理解のうえご覧ください)


今回はリアル向けのキャラクタとして以前作ったユーフォのキャラとは別の素体でセットアップをしましたのでケージのフィット作業を手で行っていますが、同一トポロジーや同一UVなど仕様の一致しているキャラクタ同士で移植を行う場合、さらに短い時間でのセットアップが可能となります。
フェイシャルというフレームがありますが、大体フェイシャルリグの作成も似たような手順での作業となります。

■GUI
とりあえず市販ソフトではないので地味の極みですが、こんな感じのGUIがあります。
左がsetupタブ。右がcontrolタブ。
セットアップタブでは、ケージからスケルトンの関節位置を計算させたり、必要に応じて追加のモジュールを作成できるような機能を実装しています。
コントロールタブは、コントローラの作成。補助骨の作成。標準的なウエイトや筋肉表現のドリブンキー読み込みなどをボタン一発で作成できるようにしています。
その他にはプロキシーの作成やコントローラのペアレント切り替え作成。ダイナミクスの実装など、標準からさらに踏み込んだセットアップを盛り込みたい場合もよくあるツールはこのGUIからアクセスできるようにしてあります。
01_20170515021702d0e.jpg


■関節位置の自動検出について
ベースとなるローポリのケージを読み込んでフィットさせると、そこから関節の位置を自動検出します。
これはクローゼストポイントで最至近距離の一点から計算などをしてしまうと体系の変化時に位置ずれを起こす可能性があるため、最低でも断面の2点。重要な場合4点の参考位置から関節位置を計算するように設計してあるため、かなり精度の高いポジションの取得が可能となっています。
さらにIKを作成する上で直線状に並ばなければいけない部分はこういった検出作業時大体ずれるため、そこを補完する計算も入れられるようにしてあります。
その上で気に入らなければさらに手動で位置や軸変更を入れられるようにしてありますが、少なくともテストで作成した2体のキャラクタについては自動検出一発で骨位置を決定しています。


■(オマケ)今回作ったキャラクタモデルについて
今回はゼロからセットアップをするというテーマを満たすため、新たにキャラクタをモデリングしました。
うつ星やつらのラムちゃんで、高橋先生へのファンアートとして。。。

(クリックで拡大)
rumTyan.jpg

前回は線ありのルックだったため、今回はデフォルメしつつもリアル寄りの質感で作成しています。


■最後に
「リグってなんだか難しそう」
CGをやっていて、そう考えている人は多いと思います。
そう考えているモデラーが「自分で骨を入れてみたい」とか、アニメータが「自分でギミックを作ってみたい」とか、そういう風にカジュアルにリグに向き合える日が来るといいなと思いながらこの記事を投稿します。

[miRA]モジュラーリギングシステム「miRA(ミラ)」

2017年05月08日 06:32

久しぶりのCGトピックスです。

miRAについて
開発のきっかけですが、CG業界でスタンダードになりつつあるプログラミング言語「パイソン」を勉強するため、数年前から題材として「リグシステム」を趣味で書き始めました。結果面白くなってしまいC++にも手を出してしまいましたが・・・
(元々別の名前で開発していたのですが、コアの設計に問題があったため一度全て捨てて書き直したという経緯があったりします。)

もう一つの開発理由として、いわゆるハイエンド系のCG用に設計されたリグはアニメ業界での運用にマッチする部分もあればそうでない部分もあると長年感じていました。
そういった部分も含め、何か一つ自分なりの回答となりうるリグを作りたいというのが最も大きな開発理由だと思います。

細かい話は置いておき、とりあえずデモリールをご覧ください。
(※HD720でアップしていますので、可能であれば画質を上げてご覧ください。)

なお、リグのサンプル用としてモデリングしたのは響けユーフォニアムから麗奈さんです。ファンアート兼ねて作ってみました。
reina.jpg


■モジュラーリギングについて
モジュラーリギングは兼ねてより提唱されている、腕や背骨や手といった部位をバラバラにセットアップし、それを組み合わせて複雑なリグ構築を可能にするという考え方です。
概念としては、英語ですがこちらのスライドで分かりやすく説明してあります。
http://halo.bungie.net/inside/publications.aspx
Modular Procedural Rigging

最近では、スクウェアエニックスの佐々木さんが「CRAFT」という素晴らしいモジュラーリグシステムの情報をCESECで発表されていたり、海外では「mGear」というオープンソースのリグシステムが公開されていたりと、勉強する上での情報はだんだん出てきたなという印象です。

DFtalkさんでも、よい情報をたくさんまとめてくださっています。
https://dftalk.jp/?p=17463


■リグの軽量化
上記CRAFT開発者佐々木さんが以前のCEDECで発表されていた内容がすごく参考になりました。
http://cedec.cesa.or.jp/2014/session/VA/971.html
ここで発表された「ローカルコンストレイン計算」をモジュール内では基本とし、可能な限りワールドでの計算を行わないようにマトリックス接続を最適化しています。
そのためサンプルのように大量のリグを構成しても、現実的な速度でリグが動きます。


■Module(モジュール)とUnit(ユニット)
miRAの特徴として、リグが大きく分けて「モジュール」「ユニット」の2つにカテゴライズされます。
--モジュールの例--
・root
どのリグにも必ず作られる基礎モジュールです。
WorldリグとLocalリグ、セッティングノード(表示非表示やリグのステータスを変更するための歯車のようなリグ)が最低一つづつ作られます。
WorldとLocalはそれぞれ9個までオフセットを増やせます。

・chain
尻尾や背骨など汎用的に使えるリグ。
たとえば、背骨は4本。肩や頭、首は1本で作成する等することで色々と使いまわしています。
(本数はカスタマイズ可能)
IKスプラインハンドルなどアドバンスドビルドも可能。
スカートやヘア、顎やベロ。視線などもこれで作成している非常に汎用性の高いモジュールです。

・limb
腕や脚に使う、いわゆる2ボーンIKを基礎としたリグです。
3本モードといういう特殊モードも用意していますが、こちらは指などに使っています。


--ユニットの例--
・parentSwitch
IKハンドルや色々なリグの親を切り替えられるスイッチを作成します。
移動のみ、回転のみなどのカスタマイズも可能。

・adjustInfluence
肘の突き出しや脇下の補助骨など、コントローラを持たない補助インフルエンスを作成するためのユニット。
フラグがたくさんあり、自分でドリブンキーを組むためのシンプルなものからパラメータで複雑な動きを作れるものまで色々と作れるようにしています。

・physicalChain
チェーンと書いていますが、limbや他エンドジョイントが存在するリグなら全てに実装できるダイナミクス。
詳しくは後述

・meshAttach
ボタンやリベット、ジッパーなど変形するものの表面に変形しない硬いものを追随させる際に使います。
フェイシャルリグのセレクタなど顔のメッシュに追随させたい場合にも使います。
--------------------

モジュールは上記+いくつか専門的なものが数個ある程度ですが、ユニットは他にもかなりたくさんあります。

なぜモジュールとユニットをカテゴライズしたかを家の建設に例えてみます。
家を建てるには、まず柱を立てて壁を塗り、天井を塞いだりと「家としての基礎」を最初に作ります。これがモジュール。
その後、カーテンをつけたり冷蔵庫やテレビを置いたりと、実用に向けてのカスタマイズを組み合わせて運用していきます。これがユニット。

なぜこのようにカテゴライズしたかというと、一つ一つの機能をシンプルにすることによって汎用性を高めようという狙いがあったからです。
例えば、ダイナミクスを実装するための機能をチェーン専用ではなくユニット化することで、指や背骨、首などにもダイナミクスを実装できるようになります(やらないと思いますが・・・)
他にも、adjustInfluenceをチェーンモジュールとlimbモジュールにまたがって構成できたりとモジュール内のオプション機能にしてしまわずに独立させることで汎用性がぐっと上がり、さらに組み合わせた際の多様性が非常に広がります
(最初に紹介したデモリールのサンプルキャラクタに使っているモジュールは、セカンダリやフェイシャルを含めてもたったの5種類。多様性を出すためいかにunitとの組み合わせが重要かが理解できるかと思います。)

■GUIベースとスクリプトベース
モデラーやアニメータでも簡単にセットアップができるという敷居の低さを目標として開発しているのがmiRAです。
スクリプトの知識がなくとも、GUIからモジュールやユニットの作成。ビルドデータやウエイトデータ等の書き出し、リグの再構築などプロダクションパイプラインに必要とされる物を満たせるように設計しています。
(例)chainモジュール作成GUI中、スプラインIKのオプション
ik_201705080652594cd.jpg


ただし、GUIから作成可能とはいえ例えばスカートなど、繰り返し処理でモジュールを作った方が便利な場合があります。
そういった場合には全てスクリプトからのアクセスも可能としています。
さらにそのスクリプトを所定のテンプレートフォルダに配置すれば、GUI上から読み込みと再構築を実行できるようにしてあります。
(例)表情リグ関連のテンプレート
template.jpg


例えば、標準的なbiped(二足歩行)リグを作る場合以下のモジュールを使用して作成します。
-----
・背骨:chain
・首:chain
・頭:chain
・鎖骨:chain
・腕:limb
・手首:chain
・手の甲:chain
・指:limb
・腰:chain
・脚:limb
・足:step(リバースフット用モジュール)
-----
上記のような構成をイチイチGUI上から一個一個作っていると非常にめんどうですので、テンプレートスクリプトを記述して登録しあとはGUI上からボタン一個でbipedとして構成できるようにしてあります。

■その上で・・・
ここまで紹介したお話は「シンプルな機能の組み合わせで多様性を出していく」というモジュラーリギングのロジックをmiRAなりに解釈した内容です。

その上で、どのようなリグを設計するか。アニメータが何を求め、案件ごとにどのようなリグを提供していくか。
会社やチームによって、リグに求められる要素は想像以上に違います。
(例えばmiRAの売りとして、ほぼ全関節をトランスレート、ローテート、スケール、ローテートオーダーをkeyable開放しています。
これは会社によってはロックしろと嫌われることもあったりします。)

そういった状況の中でイチイチ機能をプログラミングしなくても、既存のモジュールやユニットの組み合わせで要望に対応していく事のできる仕組みを、今後も時間をかけて作って行ければと考えています。

映画は総合芸術だ!2D、3D総力戦で作り上げた渾身の一撃「映画プリキュアドリームスターズ!」

2017年03月12日 20:28

映画プリキュアドリームスターズ!いよいよ公開が来週に迫りました。

私にとって初の長編映画監督作品となった本作。
「全員集合」から「直近三世代」へとリニューアルし、プリキュア映画史上最も3DCGを多く使った映画となりました。
私個人としては、大塚監督から受け継がれてきた全員集合映画を心からリスペクトしています。それだけに、私のような新人監督がここまで色々なものを変えてしまっていいのだろうかと葛藤がありました。

本当に最近まで作業をしていたためまだ自分の中で気持ちが整理できていませんが、せっかくなのでこの場で映画に対する気持ちを語らせてもらいたいと思います。
daihon.jpg



■「人数を減らす」という選択について
これはいくつかのインタビューで鷲尾プロデューサがおっしゃっているように
「子供のために」
という理由がほぼ全てです。
私自身昔のプリキュアにもとても愛着があり、出したいキャラクタがたくさんいました。(というか出す気満々でいました)
しかし、子供が映画館で知らないプリキュアが出てきて「あの人だあれ?」となってしまう状況が想定されながら「俺が出したいから50人出すんだ」と我を通すというのはいくらなんでも横暴だろうと思いました。

昔のプリキュアも出したいのは監督の私も気持ちは同じ。
だからこそ、そんな気持ちを持っている人たちが見ても絶対に面白いと思ってくれるものを12人で作ろう。と奮い立ちました。
プリキュアたちやサクラの濃密なドラマ。12人くらいが一番生えるレイアウトやアクションなど、とにかく知恵をしぼってみんなで考えました。

他にも、初代オマージュのアクションやちょっとしたポーズなど、昔のファンが気づいたらニヤっとできるような仕込みを色々と用意していますので(分かりやすいのから分かりにくいのまで)、よければ探してみてください。

■作品に向かう気持ちについて
少し個人的な話になってしまいますが、この作品を作り始めたとき、不安で押しつぶされそうになりました。
まず、全国200館超えの大規模上映がされる作品を背負わなければいけないという重圧。そして、圧倒的な人手不足が想定されたこと。
この映画を作っている最中、私が所属している部では大きなテレビシリーズ作品を抱えており、私が育てたスタッフの多くもそちらに参加している状態でした。その作品は私にとっても大切な作品であり、強引に人手を引きずり戻す事は到底できない状況。
あ、これ詰んだな・・・と思いました。

そんなとき、ふと友達の勧めで見た「オデッセイ」のブルーレイ。
主人公のマットデイモンが火星基地に置き去りにされ、食料も資材も足りない絶望の中あらゆる工夫と強靭な意志の強さで生き残るというお話です。
お話とは分かっていても、マットデイモンの異常なほどに前向きな姿勢に心奪われ、一人号泣してしまったのを覚えています。

とにかく私もできることは全てもがいてみよう
そう思い、過去一緒に仕事をしてきた社外の友達や先輩・一緒にやりたいと前から思っていた同業者等、監督である私自らがむしゃらに連絡を取り、力を貸してほしいと打診しまくりました。
タイミング的に色々仕事が埋まっている中、「宮本君のデビュー作なら必ず時間を作るよ!」とたくさんの仲間たちが言ってくれました。
本当に本当に本当にうれしくて、ここでもまた号泣してしまった情緒不安定な三十路監督でした。

しかもその後社内でも私の作品に参加したいと言ってくれるスタッフが出てきたり、結果的には相当いいメンバーで作品に取り組むことができる状態にまでなりました

この時の経験が、実は映画全体を通したサクラの心情に結構な影響を与えているなと完成した映画を見て改めて思いました。

■憧れや夢
今回の映画、大きなトピックスの一つが「3DCGの世界と2D作画の世界を行き来する」というもの。
そう、半分強は作画のアニメなのです。

過去に少しだけ原画の仕事をかじったことがあるとはいえ、基本的には3DCGの業界で生きてきた私。
完全にアウェイな状況でしたが、こちらも素晴らしいスタッフが集結してくれとてもいい流れになっていきました。

絵コンテは作画パートも含め私が切らせてもらったのですが、2D作画パーとには専属の演出さんが2人も立ってもらい、コンテより後の映像制作全般でとても尽力してくれました。
作画監督についても、どうしても一緒に仕事をしたかった「プリンセスプリキュア」キャラデザの中谷さん。そしてハピネスチャージ映画でキャラデをされていた大田さんなど、言うだけならタダだと思い夢見がちな希望を出してみました。
結果なんと、そのお二人がツーマンセルで両方入ってくれるというミラクルが実現
他にも毎度プリキュア映画でお馴染みのスーパー原画マンなど、かなり贅沢な環境で作品に取り組むことができました。

今まで夢見てきた2Dに対する憧れを、この作品で一気に回収できたな・・・とまで思い、感動で身震いしています。

■2Dと3Dの関係
実は、3DCGと2D作画パートは完全に切り分けているわけではなく、お互いに色々と影響を与え合っています。
普段からデジタルツールを使い倒している我々からできる提案は少なからずあるはずだ!と、撮影ソフトの最新プラグインなどを調査し、2D作画パートの撮影さんと協力。
今までのプリキュア映画ではあまりやってこなかったような撮影処理をふんだんに盛り込みました。
結果、作画パートを見て「これCG?」というコメントまで見るようになりました。
変化に気づいてもらえているという手ごたえを感じ、思わずガッツポーズをキメた私でした。

逆に、2Dで上がってきている素晴らししレイアウトや原画もCGアニメータに多大な影響を与えています
3DCGでは表情のアニメーションを作る際に「モーフターゲット」といわれる形状ライブラリを作るのですが、後から中谷さんや大田さんの原画を参考にこっそり3Dのターゲットを作り足したりと、制作中盤からもクオリティアップのためにできることは全てやりました。

■10年の集大成として
ここまで色々語ってきたように、映画が進むにつれてどんどん強力な味方が増えていきました
3Dスタッフも2Dスタッフも、私にとっては映画の中のプリキュアなのです

私は業界入りしてまる10年が経ちました。
とにかくたくさんの人と仕事をし、積み上げてきた仲間・技術・経験。
それらを余すことなく一本の映画に全て注ぎ込むことができたと実感しています。


ただ、監督として、演出家として私はまだまだ駆け出しです。
でもだからこそ、元気いっぱいで地に足ついていないヒャッハーなところ(?)がこの映画の魅力だと勝手に総括してみます。

映画プリキュアドリームスターズ!3/18日いよいよ公開です!
http://www.precure-dreamstars.com/

koukai.jpg

プリキュアに叶えてもらった夢

2015年10月25日 21:55

(※「ながいよ!」という方は、スクロールして「子供たちの笑顔が~」から下だけでも読んでいただければと)


ついに10月31日公開になります
「映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!」
あちこちでセミナーや取材・告知をさせていただき、感謝しております。

イラスト描いてみまいた(クリックで拡大)
preMovKinen_201510252308545cc.jpg



この中で、フル3DCGによる中編映画
「プリキュアとレフィのワンダーナイト!」
で、映画としては初の監督をやらせていただきました。
半年という短いプロダクション期間でフルCG映画を作るという無謀な挑戦でしたが、なんとか先日ダビング、オンラインを経て納品となりました。

今までもたくさんのプリキュア作品に関わらせていただいてきましたが、今回は初監督ということもあり自分にとって並々ならない気合と執念で作品制作に望みました。
なんだか自伝のようになってしまいちょっと長いですが、自分がプリキュアというタイトルに込める思いを書いていければと思います。


■「監督になりたい!」と決意した「ホッタラケの島」
私のキャリアスタートはゲーム会社で、当時「一流のモデラーになる」事が唯一の目標であり、夢でした。
しかし、最初の転職先であるプロダクションIGで関わった映画「ホッタラケの島」で、当時絵コンテ演出をされていた塩谷直義さんの仕事をみて「キャラクタを魅力的に見せるのはモデリングだけじゃない」という当たり前の事に気付きました。
キャラクタのしぐさやセリフ、場面の流れなどあらゆる要素が総合的に絡み合い、キャラクタは魅力的に見えるのだと。
それ以来私は6年間「監督になりたい!」と言い続けるようになりました。


■東映に来るきっかけとなった「プリキュアオールスターズDX2」
そもそも私は東映アニメーションに所属前、別の仕事をしながら在宅で東映の仕事を手伝っていました。
その時手伝っていたのが大塚隆史さん監督の「映画 プリキュアオールスターズDX2」で、宮原直樹さんがディレクターをされていたフル3DCGエンディングのキャラモデリングを手伝わせてもらっていました。
私の担当はプリキュア5GOGOの「キュアレモネード」だったのですが、リアル系のCGしか経験のない私はOKすらとることができず引き上げられてしまう始末。迷惑だけかけて全く戦力にならないというありさまでした。
ただ、引き上げられたにも関わらず試写会で見たキャラクタたちの映像をみて「もう一度この仕事をしたい」と思えるくらいインパクトのあるエンディングに仕上がっていました。

ちょうどその頃別の仕事が止まる事が決まり、現在は東映デジタル部の部長になっている氷見さんに声をかけてもらいました。
私としては結果を出せなかった後ろめたさがあったのですが、それでも「才能を感じるから」と声をかけてくれた事に感激し、デジタル部に直接所属する事を決めました。


■リベンジで挑んだ「スイートプリキュア」
それから5年半、色々な作品に関わってきたのですが、転機となったのは2011年「スイートプリキュア」の後期エンディング。4人目の新キャラクタ「ミューズ」のモデリング担当が空いているが、やってみるかと提案をもらいました。
DX2での挫折がくやしくて、いわゆる「セルルック」のキャラクタ表現に対して徹底的に自主勉をしていた私は「やらせてください!」と即答。今回は引き上げられず最後までOKを取る事ができました。


■人生初の成功体験「スマイルプリキュア」
スイートで一応はトゥーン系案件でも使えると評価してもらい、次のスマイルプリキュアではリードモデラーをやってみろというお話をいただくことに。
話を聞くと、スマイルの監督は私が東映に来るきっかけを作ってくれたDX2の大塚さん。上がってきたキャラクタデザインはとても好みで、
とにかく「この作品に運命を感じる」と思いました。
それもあり猛烈な熱意で直談判をし、リードモデラーではなくエンディングのディレクターとしてやらせてもらえることになりました。
そうと決まればがんばりましたよ、そりゃもうがむしゃらに。
結果的にスマイルプリキュアのEDはとても好評をいただき、プリキュア初のCGWORLD表紙をやらせてもらうなど大成功を収めることができました。
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■逃げては通れぬ戦い「聖闘士星矢 Legend of Sanctuary 」
スイートやスマイルをやりながらもずっと取り組み続けていたビックプロジェクト星矢がついに始動し、しばらくはこれにかかりきりになっていました。
この案件ではキャラクタデザインという肩書きを頂くことができました。
正直、長い案件だっただけに辛い思い出がそれなりにあります。
とにかく、苦しかった。(忙しかったとは別)


■リハビリだと思ったら超絶大変だった「ハピネスチャージプリキュア!」
星矢のデザイン、モデリングが終ったタイミングでしばらくゆっくりしたいなあ・・・と思っていたら、上司から呼び出されました
「3つの中から好きな案件選んでいいからディレクターして」
というお話。
今思えばこれ以外選ばないだろと思うラインナップだった気がしないでもないですが、とにかく私が選んだのは「ハピネスチャージプリキュア!」でした。エンディングは一回やっているし、まあ肩の力を抜いて息抜きがてら楽しもうくらいに思って引き受けました。
世の中そんなに甘くない!
ハピネスチャージの前期をやっている時期は、星矢のショット制作まっさかりの時期。
コンポジターもエフェクターも協力を得られず、あらゆる作業をセルフサービスでこなす超絶過酷な案件に。
でも、不思議と苦しくは無かった。むしろむちゃくちゃ楽しかったのを覚えています。
その後フォームチェンジバンクを数本作りながらクオリティの土台を固めて、グランドラインへ旅立つことに。


■東映を辞めようか本気で悩んでいた時期
実はワンピースが本格始動する前、東映を退社しようか本気で悩んでいました。
正直ここまでの数年間で精神的に疲弊することがあまりにも多く、ハピネスが楽しかったので少し持ち直したものの気持ちの落ち込みは治っていませんでした。
この時期、自分は監督になれてもショートムービー止まり。テレビや映画で監督なんてどうせなれないだろうと思ってしまっていました。
そんな時、スイートプリキュアの境監督と星矢の上村助監督が飲みに誘ってくださいました。
お二人は監督を目指す私からすると憧れの中の憧れ。
そこでお二人がが出会ってきたレジェンドな方々の話や、やりがいのあった仕事の話。
たくさんの話を聞かせてもらいました。
そこで何より嬉しかったのは「宮本君の監督した作品を見てみたい」と二人に言ってもらえたこと。
とにかく、体がぞわっとするくらいうれしかったのを覚えています。


■初監督「東京ワンピースタワー」
実は今の映画を監督する前に、一本だけショートムービーの監督をやらせてもらいました。
現在東京タワーの下でやっているワンピース専属のテーマパーク「東京ワンピースタワー」の映像です。
「ルフィのエンドレスアドベンチャー」というアトラクションの最後にあるシアターに流れている映像が私の初監督作品です。
ここでも、キックオフ時にある憧れの方からうれしい言葉をいただき、一気に気持ちがトップギアに入りました。
前からワンピースはやってみたかったこともあり、その当時できることは全てやりつくし今でもクオリティには自信を持ってオススメできると自負しています。
ご興味の有る方は是非東京タワーへ。


■ついに映画監督「プリキュアとレフィのワンダーナイト!」
ここ数年間の人生で最も気持ちの落ち込む時期を乗り越え、ようやく手にしたチャンスが今回の映画。
私を東映に呼んでくれた氷見さんから「ハロウィンモノやりたいって言ってたよね、今年はハロウィンがテーマだから企画出してみる?」と進められました。
「ここを逃したら次のチャンスは無い!」と思い、必死に食らいついて企画を前に進められるよう頑張りました。

中編とはいえ半年でフルCG映画を作るというクレイジーなスケジュール。
正直最後の最後まで本当に終るのかと不安でした。

今回は監督のほかに、キャラクタデザイン、絵コンテ、リードモデラー、フェイシャルリギング、アニメーションなどを兼任しました。
自分に出来る事はなんでもやるぜ!というスタンス。
メインスタッフには今までずっと一緒に組んできた信頼できる布陣で固めてもらい、彼らと一枚岩になり結束できなければこの期間で完成はありえなかったと思います。
とにかく必死に力を尽くしてくれたスタッフたちにはもう足を向けて寝れません。

実は制作中盤、同時作業していたテレビの後期EDの佳境時期くらいからずっと頭痛が治まりませんでした。
症状を調べてみたら「緊張性頭痛」というものらしく、緊張やストレス、肩こりから来るものだとか。
結局映画が終るまで強弱はともかく、ずっとついてまわっていました。
ただ、オンラインで全素材を納品した日の夜信じられないくらいぐっすり眠れて、次の日起きたら完全に頭痛が治っていました。
私は昔から緊張はしないタチだと思っていたのですが、今回ばかりは不安でどうしようもなくなっていたのかもしれません。


■子供たちの笑顔が、一番のご褒美
そして昨日10月24日、私にとって晴れ舞台となる東京国際映画祭のレッドカーペットイベント・新宿バルト9の舞台挨拶をしてきました。
これらは自分にとっては身に余るもので、完全に身の丈にあっていないレベルのイベント。
プリキュアというビックタイトルにぶら下がり「連れて来てもらった」イベントです。
いつか自分の実力が、この舞台に相応しいレベルに到達できる日が来るんだろうか・・・
そんな事を思いながらフローラさんときゃっきゃしてきました。
CSD1gdhVAAMk637.jpg

そして今日10月25日。ついに子供たちの反応を見る日がやってきました。
試写会で後ろの方に座り、隣に座った長編の座古監督と二人で子供たちの反応を見ることに。
もうね、本当に一生懸命、プリキュアたちを応援してくれるんです。
一生懸命ライトを振って「プリキュア、頑張れ!プリキュア、頑張れ!」って。

本編もさることながらその姿を見て感動し、気が付いたら涙を流していました。
4年前始めて子供たちの反応を見たときから確信していたこの思い。
「子供たちにとって、プリキュアは架空の存在じゃない」
実在のヒーローだからこそ、そこに適当な事はできない。
改めて、自分の仕事の大切さを実感しました。
そして、うれしかった。
心の底からうれしかった。
子供たちのために映画を作ってきたはずなのに、何で俺が一番うれしさをもらってるんだって、もう胸がいっぱいになりました。


■「レフィ」というキャラクタについて
最後に、映画について触れようと思います。
ネタバレにならない程度に、映画オリジナルキャラクタ「レフィ」についてお話します。
ここまで、私が映画監督になるまでのお話をしてきました。その中で

・監督になりたいが、そう簡単ではなかったこと
・何度も挫折し、心が折れ、諦めてしまったこと
・それでも他人の言葉や熱意に心を打たれ、もう一度頑張ろうと思えたこと


プロットを書いている時は全く意識していませんでしたが、レフィというキャラクタは私が「監督」になるまでに経験してきたこと、出会ってきた人たちの生き写しだなという事に気付きました。
劇中でレフィが言うセリフ、プリキュア達に言ってもらったセリフ。
それら全てに、自分がもう一度頑張ろうと思えた大切な人たちとの関わりが散りばめられています。


人間、一度あきらめた事を何かのきっかけでもう一度挑戦し、達成したとき本当に心に勇気が湧くんです。
私は私が出会ってきたたくさんの人たちのおかげで、もう一度頑張ろうと思えました。
この映画を見た子供たちが、本当に小さなことでもいいんです。
「レフィみたいにもう一度頑張ろう」
そう思ってくれたら、これから先生きていく人生の中で、それが勇気になり柱となると思うからです。

カナタ王子の言葉で夢を捨てずにいられた、プリンセスはるかのように。


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